マーケター河原塚の放課後ノート

興味があるキーワード:イノベーション、未来、歴史、雑誌、個人、マーケティング(抜けてた!)※予定と興味があえばイベントレポートを書かせていただきます。※本ブログの内容は、私個人の考えてす。所属する組織・団体とは関係ありません。

【緊急レポート・動画あり】ブランドを守るために広告主が知らなければならないことをスマートニュースで聞いた@AdTech2017

今は広告主が意志を持って管理しないと危険。

危険というキーワードが飛び出したのが、デジタル広告におけるブランドセーフティーに関するセッションです。


f:id:passionhack:20171019001128j:image広告主およびパートナー企業にとって重要なテーマかつ、ある調査が発表されたタイミング(「日本のマーケター、8割が「アドフラウド」を知らない?:Supership ✕ Momentum による調査結果 | DIGIDAY[日本版]」)ということもあり、現在まとめられる範囲で情報をまとめて公開します。

もしかして「自分も8割だ!」というかたは、大至急読んでおきましょう!

AdTechとは

このセッションが行われたのは、AdTech(アドテック)というイベントです。

近年、広告に関するデジタルソリューションを「アドテク」と呼び、その名前を冠しています。

今年(2017年)は10月17日(火)と18日(水)の2日間にわたって東京国際フォーラムで開催されました。

広告業界のテーマについてさまざまなスピーカーによるセッションが行われるほか、出展エリアは、広告ソリューションがずらりと並ぶ、いわば「広告の見本市」状態です。

www.adtech-tokyo.com

ダイアモンドスポンサー、スマートニュースの挑戦

スポンサー&出典企業の一覧はこちら。

www.adtech-tokyo.com

唯一、ダイアモンドスポンサー(Diamond Sponsers)となったのが、ニュースアプリの雄、スマートニュース社(SmartNews)。

同社の紹介ページには、

「ブランドセーフティ」「ビューアブルインプレッション」「アドフラウド」など広告業界の課題に対して対応をしています。

の記載もあります。 

同社の展示ブースでは、2日間にわたってさまざまなセッションが行われました。

セッション「いまさら聞けないブランドセーフティーの重要性とは」に、大和ハウス工業の大島茂氏が登壇

大和ハウス工業の大島茂氏(総合宣伝部 事業販促企画室長)は、以前からブランドを守る広告主の立場からデジタル広告に対して警鐘を鳴らしていたと言います。

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聞き手は、スマートニュース社の菅原健一氏。


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まず、菅原氏から大島氏に登壇を依頼した経緯が話されました。

菅原氏「5年前ぐらいから、大島さんがビューアビリティ(後述するブランドセーフティーの課題のひとつ)について指摘していたのを記憶している。」

大島氏「2007年に総合宣伝部に赴任してからWeb広告を統括するようになったが、その当時(10年前)から、広告の掲載面がどう言うところかについて確認をするようにしていた。具体的には、掲載面をきちんと細かく説明できないネットワークは扱わない。広告の掲載箇所によっては、反社会勢力やテロリストへの資金供与になりかねないからだ。テレビCMや新聞広告では当たり前のこと。しかし、昨年の時点でも、ウェブメディアに対してブランドセーフティーのソリューションの導入を依頼しても嫌がれるのが現状。」


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スマニュー菅原健一氏「(広告の出稿先として)なぜスマートニュースを選ばれたのでしょうか?」

大島氏は前提として

「PC時代はYahoo! JAPANなどのポータルサイトがあったが、スマートフォン時代になってウェブブラウザの利用が減り、アプリが中心になった。」

と指摘しました。

その上でかなり前からスマートニュースへの出稿を行った理由を3つ挙げました。

  1. (情報をニュースしようとしてアクセスしている)ニュースアプリと広告は相性がいい
  2. 他のニュースアプリに比べてデザインがいい。
  3. 広告のバリエーションが豊富。(あまり知られてないが)市町村単位でターゲティングできる。

スマートニュースと他アプリとの広告表示を比較

広告の表示については、スマートニュースと交通検索のアプリ例を比較しました。
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他のニュースのフォーマットと統一感がありながら、 [広告]の表示が明確です。

[PR]でもなければ、[AD]でもない点を、ユーザーに伝えています。

 

菅原氏「大島さんは、怖いぐらい、本当によくスマートニュースをよく見ている。他社の広告への関心も高い。」

大島氏「広告の営業をする側が知らなすぎる。もっと勉強してから提案に来てほしい。売る側が詳しくなくてどうするんだと言いたい。」

スマートニュースの3つのブランドセーフティ

スマートニュースが行っている対策は、ビューアビリティ、アドフロード、ブランドセーフティの3つ。


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  • ビューアビリティ(広告が実際閲覧可能な状態で表示されているか)
  • アドフロード(広告が機械ではなく人に表示/クリックされているか)
  • ブランドセーフティ(広告が適切なコンテンツに掲載されているか)

(資料上はアドフラウドと表記されていますが、Fraudの発音と異なっているためフロードと記載しています。参考「fraudの意味・用例|英辞郎 on the WEB:アルク」

 

大島氏「今は広告主が意識を持って管理しないと危険」 

大島氏「 今は広告主が意識を持って管理しないと危険。(ほとんどの)代理店に意識がない。現在、ホワイトリストで広告配信をしている。手間はかかるが、ハウスエージェンシーの協力により実現している。」

ホワイトリスト方式による広告配信とは、広告を掲載するサイトを、予めリストとして登録したものだけにする方式です。一方、ブラックリスト方式は、広告を掲載しないサイトを決めるものです。前者のほうがより厳格な方法ですが、定期的にウェブサイトを精査するなど、運用の負荷は高いと言われています、 )

 

菅原氏「今後どうしていけばいいか、アドバイスをお願いします。」
大島氏「(ブランドセーフティを理解する)ネットワークやメディアが作られること。そして、広告審査をしっかりして行うこと。
ただ、現状はスマートフォン向けの広告をどうするか悩ましい。」

 

実際の動画も配信されています。ぜひご覧ください。

 

参考記事(大島氏と菅原氏がウェブメディア等で発信したもの)

また3年前の記事です。大島氏はこのころからブランドセーフティについて発信されていました。

webtan.impress.co.jp

菅原氏は『宣伝会議』(2017年10月号)への寄稿でブランドセーフティ含む、広告主の課題について言及しています(有料)

mag.sendenkaigi.com

同様に、菅原氏は2017年初の時点で、ウェブメディアの質の低下を指摘し、ホワイトリストの利用を提言しています。

広告出稿企業にとっては、ブラックリスト(悪いメディアへ出さない)からホワイトリスト(良いメディアにだけ出す)へ転換が必要である。

digiday.jp 

なお、アドテックでもより包括的なテーマのセッションが行われていました。

www.adtech-tokyo.com

このセッションについては、アドテックの参加者も感想で触れていました。

このセッションも、オープンな場、ビジターパスでも聴講可にしていただくくらい、オープンなものでも、いいかと思った。

特に、最後のセッションで業界の重鎮が。、あのような思考回路でいることに対して、(広告主側や代理店の)若手や現場がどう思っているか、まで可視化したほうが、業界の健全性は、より進行&深耕すると思うんですけどね。

 

simako.hatenablog.com

 

関連ニュースをまとめているのでご覧ください。

marketing.hatenablog.com