UZABASEの代表新野さんが教えてくれた「相対化」と「商店化」の技術( 『一流マネージャーの仕事の哲学』の出版記念セミナーで)
前回の『一流マネージャーの仕事の哲学』の出版記念セミナーで西岡氏に「まず口角をあげよう」と教わった - マーケティングがわからない で紹介した著書出版記念セミナーの後半は、西岡さんとともにUZABASEの代表新野さんが登壇した。
UZABASEは「SPEEDA」「NewsPicks」を提供する経済系ベンチャー企業。
ご自身のこれまでのキャリアを語った後、西岡さんとともに来場者の質問に答えていった。特に印象的だったのが「相対化」と「商店化」の話だった。
苦しい時を乗り越える方法その1「相対化」
新野さんのキャリアは、レストラン経営、商社、外資系、そして企業という流れながら、何度か苦しい時期があったそうです。
しかし、その状況を相対化して乗り越えてきました。
例えば、経済的に苦しい時は「年収1000万円もらっている人は数%だ」と、自分の状態を相対的(もしくは客観的)に見ることで「たいした問題じゃない」と考えるそうです。
「泥の中で進む力」には自信があるとまで言っていました。どれほどの修羅場だったのでしょうか。
ちょうどTwitterでも、同じような発想のTweetを見かけました。
不安になったり、イライラしたり、感情が揺れたときに「いやいや待て待て。これってそんなに深刻なことか?ぶっちゃけ、大したことなくね?」と自分に問いかけると、実際ほんとに大したことない場合がほとんどで、感情的になってるときの自分の視野の狭さすごいなって思う。
— ひらめきメモ (@shh7) 2017年7月28日
自分が思っているほど問題はたいしたことがない、と考えれば今の状況を乗り越えられるかもしれません。
一方で、この相対化の技術は使いどころを誤ると危険かもしれません。
相対化しすぎて自分の苦しみをスルーしすぎない
はたから見て、たいしたことがないようでも、本人にとって苦しいのは事実です。
世の中にはもっと大変な人がいる、それに比べれば自分はまだマシだ、という発想で立て直せないほど参っている可能性もあります。
そんな時は、自分は参っていてと誰かに話してみてはどうでしょうか。
苦しい時を乗り越える方法その2「商店化」
苦しい状況を乗り越える方法をもう一つ教えてくれました。
自分自身を「商店」として働くという考え方です。
新野さんは自らを「新野商店」と定義しました。
となると、社内にいる自分の上司や同僚、部下は、取引先や顧客になります。
そうしてハードな仕事を依頼されても乗り越えてきたそうです。
ただし、新野さんは職場からのフィードバックで「慇懃無礼」と言われたそうなので、こちらもまた注意が必要かもしれません。
新野さん、貴重なご経験を教えていただきありがとうございました。
『一流マネージャーの仕事の哲学』の出版記念セミナーで西岡氏に「まず口角をあげよう」と教わった
シャープのエンジニアから研究部門の責任者、コンピュータ事業を立て直し、インテルジャパンの社長になった人物がいる。西岡郁夫氏(西岡郁夫 - Wikipedia)
著書『一流マネージャーの仕事の哲学』の出版記念セミナーに参加してきた。
大会社のミドルに元気がない=寝ないで考えろ!
西岡氏はご自身の波乱万丈なキャリアを説明したのち、大会社のミドルに元気がないと指摘しました。
通勤時の電車内では、スマホをいじる人ばかり。もし、自分の仕事にふつふつした想いがあったら、スマホをいじっていないでもっと考えよ!と言います。
考えることの例として、AmazonのWhole Foodsの買収の動きを提示しました。
なぜ、高級食料品スーパーを購入したのか?どんな方向に会社を持って行こうとしているのか?ECの体験はどう変わるのか?
企業のひとつの動きから、いろいろと推測をしていきます。正解を出すことが目的ではなく、考えて考えて、自分なりの見解を持つようにといいます。
この動きを判断する方法のひとつが「本気度」です。
Amazonの自社総額と、買収金額を比べることで、本気度がわかるといいます。
(参考 Amazonがホールフーズを約1.5兆円で買収した際のM&A舞台裏 - Amazonの交渉力が強すぎた | 決算が読めるようになるノート )
他にも、グローバルのファッションブランドZARAの事例なども挙げながら、各企業の動きを捉えるのか、レクチャーしてくれました。
そして、、
「Be Innovative !イキイキと考えるクセを身につけよう!」
と熱く語りかけてくれました。
ミドルマネジメントがすべきこと
最後に、変化のなかで日本や企業を元気にするために、すべきことを教えてくれました。
まず口角をあげよう
ハツラツとしよう
相手とアイコンタクトを取ろう
社外のネットワークを拡げなさい
「忙しい、忙しい」は恥ずかしいよ
最初の「口角をあげよう」は、笑顔で元気に働こうという意味です。
どれも具体的な行動なので、すぐにも実践できそうです。
特に、最初の3つは日々できることなので、トライしてみます。
もちろんより詳しく知るために、著書を拝読したいと思います。
西岡さん、元気をいただき、ありがとうございました。
メディアドウさん、貴重な機会をいただき、ありがとうございました。
この後、第二部としてUZABASEの代表の新野氏との対談になりました。こちらは次の記事で紹介します。
(追加)
真木よう子さんも口角をあげよう!とtweetしてました!
おはようございます☀☀☀
— 真木よう子 (@makiyokohonnin) 2017年8月1日
本日も口角を上げてとりあえずポジな言葉を発しましょう!
あゝ!清々しい朝だぁ❤
企業動向の意味合いを考えるためのニュースの見方
新聞や日経ビジネスなどの定番メディアはもちろん、ネット上にも視点や考え方のヒントになる情報があるので紹介します。
定番中の定番、大前研一氏の視点を知れるブログです。
メールマガジンも配信しているのでとても便利です。
戦略コンサルティング企業、GiXo(ギックス)によるニュース分析です。データ解析の視点での分析がユニークです。
参考
ドイツから来日したUXの専門家に教わった「信頼のバリューチェーンのための5つの質問」
UXという言葉をよく聞く。
昔はUI、ユーザーインターフェースを考えていたが、いまはより広いUX、ユーザーエクスペリエンスも考えてよりよいサービスを考える。
日本国内でUXの普及活動を行う、UX DAYS TOKYOがドイツからUXの専門家を招いたセミナーを開催するというので参加してきた。
ドイツから来日したUXの専門家マール氏
講師はマティアス・マールさん(Mathias Maul)。
言語学、コンピュータサイエンス、サイコセラピストという3つの知見をお持ちといいます。
プレゼンテーション資料上のタイトルは「Trust Value Chain」。
コンテンツとは何か?という問いから始まり、カスタマージャーをどうとらえるか、Zero Moment of Trust、信頼の構築法、そして特別な5つの質問を教えてくれました。
会社の内外、組織内や顧客に対する関係性を変えることで、企業を進化させようというのです。 その際に問題となるのが、組織のサイロです。
例としてあげられたのが、営業とマーケティングがそれぞれの目的が異なるためにかみ合わないケースを上げました。
解消のために、日々問いかけてほしいという5つの質問を教わりました。
組織のサイロに対処するための5つの質問(5 Essential Daily Questions)
特に、組織内のサイロにどう対応するか、のヒントとして5つの質問を教わりました。
(「Trust velue chain」)
- Can everyone see everything the needs ?
- Does everyone know their purpose ?
- Does management show they care ?
- Are you putting on your owen oxygen mask first ?
- Is there room for bottom-up self-organization ?
日本語に約束すると(ちょっと怪しいですが)、
- みんなが必要なものを入手できるか?
- みんなが目的を知っているか?
- マネジメントは従業員に気配りをしているか?
- 他人を助ける前に、自分を助けているか?(まず自分から動かしているか)
- 個人の仕事から成長できるか?
という問いを日々投げかけることを勧められました。
その後、2番を重視して問いかけるようにしています。
信頼をどう計測するか質問してみた
講演後、マールさんに、どうやって信頼が築かれていることを評価・計測すべきか?と質問してみました。
コンテンツを通して得られた効果で計測する、という答えでした。
なお、講演の最初に「コンテンツとは何か?」 という問いを投げかけ、
ユーザーマニュアル、ヘルプデスクの対応、SNSでの発信、プレスリリース、広告のコピーなど、様々な顧客とのコミュニケーション素材と定義しています。
UX DAYS TOKYOのイベントに参加して、もっとUXを理解したいと思います。
参考
UXに関する定期的にイベントを開催しているので、興味のある方はこちらをどうぞ。
福田健二選手、鈴木啓太選手ともう一人のサッカー界のおすすめ記事3本(2017年7月)
スポーツ観戦といえば、ここ数年はサッカーが中心になっている。週末は、地元横浜のチーム、横浜FCの勝敗(現在5位)に一喜一憂してしまう。
そもそもサッカー選手のストーリーは職業人として学ぶことが多い。
最近読んだサッカー界のオススメ記事を3本紹介する。サポーターではなく、あくまでビジネスパーソン視点で選んだ。
福田健二選手の引退
好きなサッカーで
世界に胸を張れる
選手になって下さい
小学5年生の時、この世を去った母の遺書、三行の約束を彼は頑なに守ろうとした。
ぼくが福田選手で知っているのは、名古屋グランパス時代のシュートぐらいしかありません。その後、国内外のチームで働き、最後は香港でプレーして引退されました。
新しい環境でどう信頼を得ていくか、何かにひたむきに取り組むことの強さが伝わってきます。
マーケティング、もっとがんばります。
もうひとつ、やはり選手の引退記事から。
鈴木啓太選手の引退
遠回しな言葉の意味を考えさせてくれた、元日本代表監督のオシム監督。
「水を運ぶ人」と呼んだのが、浦和レッズの鈴木啓太選手です。中盤の底、いわゆるボランチのポジションを中心に活躍しました。
浦和レッズといえば、代々攻撃力が注目されがちです。
他の選手の動きを助けるプレーを率先して行っていたそうです。
組織のためのプレーができる人って、一見地味ですがとても重要です。
ぼくはそういう動きが得意なタイプではないのですが、状況によっては気をまわしたりします。
なかなかうまくいきませんが、必要な時には必要な動きができるよう、意識してみます。
鈴木選手にじっくりインタビューしているこの記事もオススメです。サッカー以外の私生活の鈴木選手の話を読めます。
3本目の記事は、電車の中で読まない方がいいです。
もう一人の選手
とにかく読んでください。
サッカー選手って、やはり夢を与える存在なのだと思います。
いまでは監督業を中心に活躍されてますが、選手時代から熱いかたでした。
あるチームの監督をされてるとき、試合を観に行きました。指揮していたチームは、前半終了時に3-0でリード。後半まさかの4失点で逆転負け。チームを鼓舞し続けた姿が印象的でした。
さて、いろいろがんばれる気がしてきました。7月も残りわずか、ラストスパートをかけます。
書きたいネタ一覧(2017年7月)
書きたいと思って書けていないネタをメモしておきます(2017年7月25日時点、31日更新)。
- UXの専門家に教わった信頼のバリューチェーンとは
- インテル元社長に教わったミドルマネージャーがいますぐにやるべきこと
- UZABASEの経営者に教わったミドルマネージャーのための相対化の技術
- 打合せ前に参加メンバーのKPIを確認するSalesforceがすごい
- 長文ライティングのヒント
- サッカーのベテラン選手のニュース3本から学んだこと
- 最近読んだ面白いマーケティング記事3選
- ニュースの読み方を教わるサイト
- 試写会「禅と骨」感想
- クラウドファンディングで手に入れたもの紹介(BB2ほか)
- 絶滅危惧種を救う印鑑を買ってみた
- コイケヤのスゴーンから学んだ価格イメージを壊す方法
- 35歳を超えるとがんばらないって本当だろうか
- 日野原重明さんの訃報に思うこと
- マーケティングについて考えたこと
- 「小説を読もう」のおすすめ3作品
- 断捨離プレッシャーをどう乗り越えるか(シリーズの可能性あり)
- 新ブログタイトル発表
タイトルに、なんとかから学んだというパターンを多用しすぎているので、見直しが必要です。
さて、ネタが17本(12本、7月31日更新)もあります。
このネタをちゃんと記事化すると、自分に浸透させられる(当社比)のでがんばります。
映画『忍びの国』の主人公は日置大膳と思ったわけ(ネタバレあり)
息子と一緒に映画『忍びの国』を観た。
映画が終わったあと、息子は言った。
日置大膳がかっこよかったね。
主人公は嵐の大野智演じる凄腕の忍者、無門。
一方、伊勢谷友介演じる、日置大膳(へきだいぜん)は織田信勝の家臣の一人で、強弓の使い手。
実はぼくのなかでも日置大膳の印象が強かった。
なぜなら、悲劇を背負っていたからだ。
映画のなかの日置大膳(ネタバレあり)
伊勢谷友介さんの演技がいい
まず、伊勢谷友介がかっこよかったです。
引き締まった表情に加えて、戦国武将の出で立ちが決まっていました。
忍びの国における日置大膳殿。
— 真田 左衛門佐 信繁(九度山蟄居) (@saemonnosuK) 2017年7月7日
赤き甲冑に、鹿角(っぽい)脇立て、さらには用いたるは朱塗りの十文字槍。
どことなく、親近感。 pic.twitter.com/AjRT8YRilp
そして、映画のなかでのストーリーがまたいいのです。
日置大膳のストーリーがいい
もともと、北畠家の家臣だった大膳が、織田信勝の命により、主君北畠具教を殺害します。自分を引き立てた主君に刃を向けることに苦悩しながらも、最後は自らの手にかけます。
その後、織田信勝に仕えるのですが、主君のはずの信勝に対して、何度となく反対意見を出します。信勝といえば、天下統一に突き進む織田信長の次男であり、機嫌を損ないたくないと腰の引けた他の家臣とは全く違います。
そして、後半からは知略と強弓をふるって、忍者たちとの激しい戦いに身を投じていくのです。
苦しみからの再生、奮闘ぶりが、観客の気持ちをぐっとつかむのでしょう。
強弓を使うのがいい
刀や槍も使いますが、見所は強弓での無門との対決シーンです。
無門は、接近戦用の忍者刀や中距離兵器の手裏剣やクナイを使います。
日置大膳は、強弓をもって迎え撃ちます。
その勝敗は、、、。
まあ、実際の日置大膳がどうったかは置いておきます。
主人公無門との比較
一方、主人公無門は無表情で人を殺めるような、いわば殺人マシーンです。もちろん、女房のお国(石原さとみ)の尻に敷かれるような、間の抜けた一面はあります。
本来、二面性になるべき性格があまりに乖離していて、無門という一人の人間のなか両立する感じがしませんでした。
もしかしたら、原作『忍びの国』ではまた違う描かれ方をしているのかもしれません。
その点、日置大膳は悲劇に苦悩する姿など、とにかく人間的で魅了されました。
これから映画を見る方は、日置大膳の登場シーンにご注目ください!
映画『忍びの国』の主人公無門は凄腕フリーランスではない(ネタバレあり)
映画『忍びの国』を観た。
思わず、主人公は凄腕フリーランスか、とTweetした。
映画「忍びの国」の主人公、凄腕の忍者無門(むもん)は、凄腕フリーランスかもなあ。対する強弓使いの大膳は、有能だがあくまで主君に忠義を尽くす。大企業のエリート。違う映画に見えてくる(笑) #忍びの国
— Toru Kawarazuka (@passionhack) 2017年7月17日
しかし、よく考えてみると、どうも違う。
凄腕どころか、質の低いフリーランスだと思えてきた。
自分がいなくなったあとのことを何にも考えていないからだ。
映画『忍びの国』とは
原作は、戦国ものでヒット作が続く和田竜さん。『のぼうの城』や『村上海賊の娘』などもよく知られています。
テーマは、織田家の天下統一過程での伊賀攻めです。
主人公は、伊賀忍者の無門。凄腕で容赦のない仕事ぶりをする反面、自分がさらってきた女性、お国の機嫌をとるのに苦労する面を持っています。
無門を演じるのは、嵐の大野智さん。お国役に石原さとみさん、敵対する強弓の使い手日置大膳役を伊勢谷友介さんなどが演じる、エンターテイメント作品になっています。
この作品のなかでは、伊賀忍者たちは「虎狼の族(ころうのやから)」と呼ばれています。報酬さえもらえれば、どんな非道なこと、それこそ同じ伊賀忍者同士でも易々と殺し合うような存在だからです。
報酬をもらって凄腕を発揮する、という点だけで「凄腕フリーランス」と言ってみたものの、よくよく考えると凄腕でもなんでもないと気づきました。
伊賀忍者の働きぶり(以下、ネタバレあり)
象徴的なシーンが、丸山城(多分)の築城です。
まず、織田家が伊賀忍者と友好的なふりをします。伊賀忍者たちは自国の防衛では報酬を貰えないからと消極的でした。忍者の頭たちも織田信長の次男、織田信勝(伊賀攻めの際は北畠具豊と名乗る)の家臣に丁重に接します。
次に、信勝の家臣たちは、伊賀国内に城を築くことを伝えます。築城に協力したものには手厚く賃金を払うと約束します。命の危険のない仕事に、忍者たちは喜んで手伝います。
いよいよ城が完成しました。忍者たちは賃金をもらって城から立ち去り、信勝勢は城を拠点として伊賀の国の支配へ乗り出す、とその瞬間。
城が爆破されます。
忍者たちの頭のロジックは、頼まれた仕事は終わらせた。でも、今後の仕事を受けるのに邪魔だから壊したというものです。
これは凄腕フリーランスではないです。
凄腕フリーランス
どんな分野のフリーランスにせよ、自分がいなくなったあとのことも考えるのが、本当の凄腕なのだと思います。
先のことを考えて、請け負った仕事を計画的に進めるとともに、自分がいなくなった時のことも考えておく。
中国の三国志の天才軍師、諸葛孔明は自分が亡くなった後の人材を3人まで指名したと言われています(逆に、3人しか自分の後継者たる人材がいない悲劇的な状況を暗示していたとも言われます)。
映画『忍びの国』の主人公、無門は忍びの腕こそ凄いものの、目の前のこと以外を考えられる人物ではありませんでした。
ストーリーのなかで、彼がどうなっていくのか。
気になるかたは映画館へどうぞ!