マーケター河原塚の放課後ノート

興味があるキーワード:イノベーション、未来、歴史、雑誌、個人、マーケティング(抜けてた!)※予定と興味があえばイベントレポートを書かせていただきます。※本ブログの内容は、私個人の考えてす。所属する組織・団体とは関係ありません。

小霜和也著『急いでデジタルクリエイティブの本当の話をします。』刊行記念・デジタル広告とデジタルPRの最前線@青山ブックセンター

書店で見かけて気になっていた本の刊行記念イベントに参加しました。

イベントの正式名称は、

「小霜和也著『急いでデジタルクリエイティブの本当の話をします。』刊行記念 デジタル広告とデジタルPRの最前線を語ります!小霜和也 × 本田哲也 トークイベント」

です(長いですね)。
www.aoyamabc.jp

なお、このイベントは有料なので印象の強かった箇所を中心とした要約です。

登壇者はクリエイティブディレクターの小霜和也さんと戦略PRの本田哲也さん
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小霜和也さんの新著『急いでデジタルクリエイティブの本当の話をします。』が今年の6月 30日に出版され、本田哲也さんは『戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則』を8年ぶりに書かれたところでの対談です。

小霜さんはクリエイティブディレクターとしてテレビCMなどで実績のある方、本田さんは戦略PRで著名な方ということで、期待大です。

 

小霜和也さんの「小霜オフィス」

koshimo.com

本田哲也さんが代表の「ブルーカレント・ジャパン」

bluecurrentprjapan.com

小霜和也さん「WEBコミュニケーションの基本設計について」から
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新著のテーマはWeb動画です。

Googleは動画の「HHH」を提唱しています。

  • Helo(認知)
  • Hub(自分事化)
  • Help(理解促進・説得)

の3要素を動画に織り込むことが推奨され、スタンダードになりつつある、と言います。

本田さんも、2015年の記事で「HHH戦略」を紹介しています。

japan.cnet.com

それに対して、小霜さんはご自分のよくやるやり方として

  • 認知:WEB動画 運用
  • 自分事化:リダゲバナー(オファー絡める)
  • 理解促進・説得:LP 自社情報サイト

と動画以外の手段も組合せ、役割を分ける方法を紹介しました。

VAIO開発部の手塚部長からWifiにつながらない課長補佐の市川実日子さんへ

具体的にはVAIOの事例で、一時期話題になった「開発部 手塚部長」(動画の公開は終了しているので確認できず、残念)と、その後の「課長補佐(?) 市川実日子」の動画を解説してくれました。

 

youtu.be

WEB CMに、リターゲティングバナー、そしてリンク先のLP(ランディングページ)という構成としたそうです。

視聴「質」を見る

WEBによって「ターゲットにアプローチするための武器が一気に増えた時代」として、視聴している層の「質」を重視してるそうです。

小霜さんのスライドから一枚だけご紹介。
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花王ヘルシア緑茶「ジョギングもしてるのに!」篇

youtu.be

テレビCMをもとに、WEB CM版を別に作成したそうです。

キリンビール「零ICHI(ゼロイチ)」「博多華丸・大吉 #ゼロイチはじめる」

youtu.be

もう一つ紹介されたのが、キリンビール「零イチ」のWEB CM。

なんと52万回(2017年10月3日時点)再生されています。

確かに、ここまで某テレビ番組をネタにするとは!

しかし、これは広告なのか、PRなのか、というところで本田さんにバトンタッチしました。

 

本田哲也さん「ベビーカーのPR事例」から

本田さんは、ピジョンのベビーカー「ランフィ」の戦略PR事例を紹介されました。

pigeon-htravel.com

ランフィは、一般のベビーカーのタイヤサイズが13.5cmなのに対して、16.5cmの大きさを差別化のポイントにした新商品です。

戦略PRに関わるなかで、たどり着いたのが

「ベビーカーが段差で受ける衝撃は、自動車の急ブレーキの5倍」という実験結果です。

このデータをもとにPR活動を行い、新商品のリリースに成功しました。

 

小霜さんと本田さんがそれぞれ話したあと、対談になりました。

小霜和也さんと本田哲也さんの対談

書籍の編集者の方がモデレーターになり、対談は進行しました。

特に面白かったのは、当初のイベントタイトル「買う理由、買いたい理由のつくり方」についての小霜さんの回答でした。

デジタルでどうやったら売れるのか?と聞いてくるのはバズ動画を作りたい人なのではないでしょうか。
そういうひとたちは、ウェブをメディアと思ってないようです。
テレビならバズらせようと思わない。ちゃんと価値を伝えようとします。

ウェブをメディアとして設計するのが基本です。

質疑応答から一言ずつ

小霜和也さん

ウェブの動画によってウェブで購買まで至らずに、オフラインの窓口への問い合わせが増えたケースもある。ウェブをコンタージョンだけではなく、認知を広げるためのテレビと同じように捉えてもいいのでは。

本田哲也さん

ベビーカーの5倍の衝撃というストーリーは、メディアで語られるきっかけになったばかりではなく、最終的に店頭での店員のセールストークになった。

小霜さんが話した「新聞とテレビの役割の変化」も面白かったです。

かつて企業が公的な発表に使っていた新聞が、テレビに変わりつつあるという見解です。

 

小霜さんと本田さんのトークを通して、WEB動画への認識、PRの活用方法を知ることができました。

小霜和也さん、本田哲也さん、宣伝会議の皆さん、青山ブックセンターのみなさん、貴重な機会をありがとうございました。 

www.aoyamabc.jp