コンクールに挑むピアニストの敵はだれか?マーケティングから考える(漫画『ピアノの森』をヒントに)
「俺の敵は俺だった。」
ピアニストの世界を描いた漫画『ピアノの森』を知っていますか?
主人公の少年、一ノ瀬海(いちのせかい)が、初めて挑むピアノコンクールでこう言います。
「俺の敵は俺だった。モーツァルトは敵でも何でもなく、敵はピアノを弾くことだけに集中できない俺自身」と。
こんにちは。ピアノを聴くと猛烈に眠くなるマーケターの河原塚です。
紹介したセリフは、一色まことさんの漫画『ピアノの森』に登場します。
同作のアニメがはじまったばかりです。
この「俺の敵は俺だった」には、マーケティングにとっても重要なヒントがあります。
ピアニストの敵はだれ?
漫画のなかで、主人公はピアノのコンクール(小学生の部)に参加します。地方で開催される予選会です。成績によっては本選に進めるかもしれません。
演奏の前、彼の周りには、ピアニストを目指す演奏者がいます。なかには有名ピアニストの息子に対して嫉妬や敵対心を持つものもいます。
この場合、コンクールの参加者にとっての敵は誰でしょうか?
コンクールで「敵」というのは変なので、言い方を変えます。
もっとも重要なのは誰でしょうか?
- 他のコンクール参加者(特に、有名ピアニストの息子)
- コンクールの審査員
- コンクール会場に来場した聴衆たち
- 演奏曲の作曲家(このときはモーツアルト)
最初、モーツアルトを意識していた主人公は、演奏の途中、自分の敵は弱い自分と気づき、自分らしい演奏をして聴衆を魅了します。
さて、これをマーケティングの世界に応用してみます。
自社の敵はだれ?
あなたはある会社でマーケティングを担当しています。常日頃から情報収集が欠かせません。しかし、時間は限られています。
あなたはどの情報がもっとも重要だと思いますか?
- 競合他社
- 業界誌(年一回、優秀企業ランキングを発表します)
- 自社の顧客
- 潜在顧客
結論から言うと、自社を把握することが最重要だと私は思います。
まず、競合他社。気になります。ですが、がんばっても正確な情報は手に入りません(いわゆる合法的な範囲では)。自社の思惑とは関係なく動くでしょうから、常に後手に回ってしまいます。
次に業界誌。定期的に目を通せばいいでしょう。
続いて、自社の顧客。間違いなく重要です。マーケティング活動は、自社の顧客から始まると考えています。
そして、潜在顧客。よくリサーチの対象になりますが、リサーチの設計には十分な注意が必要です。
実は、情報の信頼性や網羅性から考えると、選択肢はあまりないのです。
自社をどこまで知っているか?
だから、主人公は言ったのです。
自分の敵は自分。
つまり、自社の敵は自社。
自社のことはわかっているのは当然と思うかもしれません。
でも、必ずしも現状を正確には把握できてないこともあります(私の経験上)。
- 自分たちの資産(アセット)は戦略に従って適正に配分できているか?
- オペレーションは円滑に行われ、顧客は快適な状況か?
- 顧客にとって、適切なタイミングで情報を提供できているか?
といった問いを、常に自らに問いかけるといいのではないでしょうか。
今回はピアニストの世界を描いた漫画『ピアノの森』をヒントに、マーケティングにおける情報の重要性についてご紹介しました。