どうすれば1on1が効果的になるか?ワールドカフェスタイルで話してきた@YeLL(エール)五反田
みなさんは「1on1」(ワンオンワン)という言葉を聞いたことはありますか?どんなイメージが浮かびますか?
いまビジネス界では「1on1ミーティング」、略して「1on1」を聞くことが増えました。
ビジネス誌で特集されたり、ヤフージャパンの「1on1」の取り組みが書籍になったり、広がりを見せています。
そもそも「1on1」って何なのでしょう?
1on1とは簡単に言えば“わざわざ定期的に”上司と部下との間で行う1対1の対話のことです。
(出典:本間浩輔『ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの技法』)
ということで、「1on1」に関するイベント、「Dialogue Night ~1on1の質を高める~」(主催YeLL)に参加しました。
自分なりの結論は「1on1」の効果は
- 誰と?
- 目的は?
の2点次第だと思いました。 詳しく説明します。
- YeLL(エール)の事業からの気づきと仮説(情報提供セッション)
- YeLL(エール)の仮説
- 1on1を効果的にするものとは?(ワールドカフェ形式)
- YeLLの活動の紹介と櫻井さんの想い
- 個人的な「1on1」への提案
- 当日の資料(SlideShare)
- 12月に2度の追加開催
イベントは、
- 情報提供セッション
- ワールドカフェ形式の議論
- YeLLの活動の紹介
の三部構成です。
YeLL(エール)の事業からの気づきと仮説(情報提供セッション)
登壇したのは、YeLLの共同代表の櫻井さんです。
主催者のYeLL(エール)は、いわば「1on1」のアウトソーシング事業を行っています。
「チームビルディングを継続的にサポートする業界初のクラウド型社内プラットフォーム」だそうです。
まず、働き方に起きている変化を指摘されました。
戦後の日本社会は、大企業による囲い込みで高度経済成長を実現してきた時期が終わり、さまざまな変化が起きています。
- 経済の停滞(GDP成長率の推移)
- 年齢/世帯構成の変化(若手の20代1人に対して30~50代は5人※1950年ごろは2人)
- 専業主婦世帯が減少し、共働き世帯が中心に(1990年半ばで逆転)
- SNSの急速な普及(普及が加速したのは2010年代初頭)
- ベンチャー企業やクラウドファンディングという新しい組織や手法が登場
その結果、若手社員にしてみると、
YeLL(エール)は、そういった企業の若手社員を、外部のクラウドサポーターによる「1on1」によってサポートする事業を行っています。そこから得られたいくつかの仮説が紹介されました。
YeLL(エール)の仮説
YeLLはこれまでサービスを提供してきて、3つの仮説を持っています。
- 自分軸と他人軸:無私性(人からの評価ではなく、自分で自分を評価する傾向)
- 自責と他責:批判性(問題が生じたとき、責任が自分にあると考えるか、他の人にあると考えるか)
- 時間による解決を待てるか:状況受容性(ストレスが発生したとき、時間が経つのを待つか、ストレスを解消とようと動くか)
これら3つの要素について、YeLLのサービスの利用者とクラウドサポーターが、どういう関係であれば、「1on1」が有意義になるか、調べているそうです。
これらの情報を参考にしながら、イベントのテーマについてディスカッションを行いました。
1on1を効果的にするものとは?(ワールドカフェ形式)
ワールドカフェとは、4人1組でテーブルを作り、カフェのような気楽な状態で話をします。
詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
さて、このワールドカフェ形式のディスカッションでは、どんな話をしたのか、振り返ってみます。
問い:「1on1」とは何か?
実は、あまり議論にならず、「定期的に、上司と部下が話すもの」というイメージが参加者のなかで共有されていました。
問い:1on1の「目的」は?
1on1はあくまで手法なので、状況によって目的は異なるという指摘がありました。
実際に「1on1」をしている企業のかたから
などの目的が挙げられました。。
また、より大きな視点では、
- 個人の成長のため
- 個人と企業の方向性を合わせるため
という意見もありました。
問い:「1on1」を効果的にするための工夫は?
技術論ですが、現在「1on1」を実施している方から貴重なアドバイスがありました。
- 「1on1」を設定した時間は必ず守る(特に上司側。「1on1」を大切にする姿勢が大事)
- 連続して「1on1」を設定しない(30分×4本のようなスケジュールはクオリティが下がる)
- 上司は黙って部下の話を聞く(アドバイスが必要かどうか、よく見極める)
- 話すテーマを部下側に任せる
- 安心して話せるための関係性を築く(例えば、漫画の話から入る)
一方、「1on1」を組織に持ち込む際の懸念点も指摘されました。導入の仕方によっては、不満がでることも少なくないと言います。
- 「1on1」の分、仕事の時間が減る(「1on1」の効果は中長期的にでてくる)
- 「1on1」に意味があるのか?(新しい取組みへ否定的な反応を示すひとは一定割合いる)
- 「評価面談」と変わらない(上司側の「1on1」への無理解)
YeLLの活動の紹介と櫻井さんの想い
ワールドカフェのあと、さらに2つの仮説が紹介されました。この要素の有無も、「1on1」の満足度に影響すると考えているそうです。
- 重要な他者(本当に信頼できる人という存在がいるかどうか)
- やりきる力(どんな状況においてもあきらめず頑張り続けられるか)
最後に、櫻井さんご本人が、なぜ「人」に関する事業に関わるのか?話がありました。
「ひととして関われば、ひとは【ひとを信じられるひと】になる」というメッセージは熱いものでした。
個人的な「1on1」への提案
今回のイベントを通して、個人的に思ったアイデアを紹介します。
「1on1」の相手を上司に限らない
ぼくが聞いた「1on1」には、上司と部下に限らず、いろいろなバリエーションがありました。
「1on1」はあくまで手法です。
上司と部下という組み合わせに限定ぜす、目的に応じて最適な組み合わせを選んではどうでしょうか。
あるグローバル企業では、世界中に「1on1」の相手になってくれる人材がいるそうです。
「1on1」を「受ける」から「使う」へ
そもそも「1on1」はどういうスタンスで関わるとよいのでしょうか?
上司と部下による「1on1」だとすると、部下側が「される」とか「受ける」と思っていた場合、いい対話になるでしょうか。
私の知人の「1on1」では、自分が抱えている様々な案件について、自分の考えを上司に投げて、方向性を確認する場として「使っている」そうです。
心構えも大切な要素だと思います。
ワールドカフェの結果(模造紙に書きました)
ワールドカフェ中は、気がついたことをどんどん模造紙に書き出して、記録として残していきました。
これから「1on1」はもっと広がりそうです。
気になる方のために、2つプレゼントを用意しました。
当日の資料(SlideShare)
Slideshareで公開されています。
※一部のページは当日の参加者限定となっています。
12月に2度の追加開催
このイベントが大好評だったので、12月に追加開催されます。しかも2回も!
興味のある方は是非参加してみてください。
一緒のテーブルになったみなさん、主催のYeLL(エール)のみなさん、ありがとうございました。
実は、「1on1」は、外資系企業に勤務する知人たちとの会話には、以前から出てくる単語でした。
ぼくは「なにそれ?誰と対決するの?」と聞き返してましたが…。
関係ないですけど、「YELL」という曲があるんですね。