講演『「週刊BS」編集長の仕事術』から仕事術だけ紹介する
週刊BSの編集長の話を聞けたので紹介します。
ちょうど衆院選直後。編集長ご本人も苦笑しつつ、講演は政治ネタ9割、仕事ネタ1割ぐらいでした。仕事ネタのみ慎重に切りとってレポートします。
※これはたまたま手にした週刊誌です。
※講演をうまくまとめる技量がないため、基本箇条書きにしています。終始、笑いの絶えない講演でした。
※特定の個人や組織につながらないよう、イニシャルトークならぬ、イニシャルライティングさせていただきます。また、エピソードから人物を特定できないよう、主旨が変わらない範囲で改変しています。
- 「週刊BS」編集長、S谷氏とは
- 「親しき仲にもスキャンダル」がモットー
- A氏の「指示にはゴールがある」
- B氏と諸氏との違い
- 義理人情に厚いC氏
- 自分とは違うタイプを周りに置くD氏
- 現場の異論・反論を大事にする
- 客観的に自分を見るしかけを作るG氏
- 「リーダーは言葉が命」
- 週刊BSのValueとVisionとMission
「週刊BS」編集長、S谷氏とは
1964年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。2012年から週刊BSの編集長。
講師の紹介文に「日々高速にPDCAを回し」と書いてあるので、編集部員に「俺は何を回してるんだ?」と聞いた(笑)。
2016年は4回の完売を出すほど、スクープを連発。
最近、仕事術に関する著書を執筆。
複数の出版から執筆の依頼が来た。
唯一、D社だけが仕事術という切り口での提案で、他社は誌面に書けなかった暴露ネタという切り口。
著書には、日々気をつけていること、今まで無意識でしていることを書いた。
「親しき仲にもスキャンダル」がモットー
書くべき時は(週刊誌に)書く、話すべき時は話すというスタンス。
敵味方では考えず、いろいろなひとと一定のパイプをも持つよう心がけている。
記事をめぐって、関係が悪化することもあるが、続くひととは続いている。
なかには、自分に都合のいいときだけ、つながろうとするひともいる。GIVE & TAKEの関係が築けるかどうか。
A氏の「指示にはゴールがある」
著書には、実名で紹介している方が数名いる。
出版後に書籍を贈ったところ、その一人、A氏から連絡があり、仕事を進める上で考えていることがよく書いてある、と感謝された。
現在、A氏がトップに立つ組織はよく機能している。
A氏の部下にヒアリングしたところ、「 A氏の指示にはゴールがある」という声があった。指示の結果、どうなるかを共有されるので、モチベーションも高くなり、仕事がやりやすい。
一方、A氏以前のトップのなかには、場当たり的で対処療法的な指示ばかりの人もいた。
B氏と諸氏との違い
もうひとり、よく話が出たのがB氏。若い頃から、将来、トップになると思ってきた点が、競争相手とは違う。高い目標を持つと、自ずと行動が変わる。
大きな決断が必要なとき、高い目標があれば方向性は変わらず決断できる。
決断は結果論になるが、タイミングを活かせない人はたくさんいた。
アクセルとブレーキのタイミングを真逆にする、いわゆる勘の悪いタイプがいる。
義理人情に厚いC氏
ある記事をきっかけに、義理人情に厚いと言われるC氏と食事をする間柄になった。
C氏はいろいろな出来事や思ったことをノートに書いている。
最も重要な言葉は、
「人事において情に流されないこと」。
義理人情は表裏一帯。周囲のひとがそのひとの力になるうとする一方、身内に甘くなるリスクもある。
自分とは違うタイプを周りに置くD氏
ワンマンで知られるD氏。
しかし、外様と思われていたE氏を幹部として重用。
なぜなのかD氏に尋ねると、「自分はたくさんの球を投げる。なかにはピンボールもある。E氏は辞めたほうがいいと直言してくる。」
そして、E氏もその自覚がある。
一方、D氏はNo.2としてF氏を指名。D氏は大きなビジョンを描くタイプ、F氏は緻密で実行に長けたタイプ。自分にはないものを持っているから、と。
組織には、構想(ビジョン)と同時に実務も必要。
週刊紙でも情報をどう扱うか、切り口を考えるセンスがいる。同時に、実際に記事にする実務力も必要。
現場の異論・反論を大事にする
自分が編集長になったとき、No.2となるデスクに
「自分はイケイケドンドンで攻めるタイプ。ヤバイと思ったときはブレーキを踏んでくれ!」と頼んだ。
これまで数回ブレーキを踏まれた。
自分にとってリトマス試験紙的な存在で、重要な役割。
客観的に自分を見るしかけを作るG氏
リーダーは自分を客観的に見れるかどうか?が大事。
G氏がある組織のトップになったとき、連絡があり、「外から見ていておかしいと感じたら、教えてほしい」と頼まれた。
トップは耳ざわりのいい言葉を言うひとを周囲に置きがちになる。
「リーダーは言葉が命」
自分の言葉が軽くなるような行動はしてはならない。
「あなたにそう言われたらやるしかない」と部下に言われるようなリーダーであれと。
「あんたにだけは言われたくない」となってはならない。
週刊BSのValueとVisionとMission
著書を読んでくれたひとから
「ジム・コリンズの『ビジョナリー・カンパニー』を読んでますね」と言われたが、読んだことはない(笑)。
組織はValueとVisionとMissionが大切。
どうすれば週刊BSのビジネスモデルを維持できるか考える
編集長になったとき、編集部員60名に伝えたのは
「武器はスクープ力だ。週刊BSの将来がかかっている。」
Value=スクープ記事のインパクト
他誌には真似できないようなスクープを狙う。
そもそもスクープとは、コストもリスクもかかる。ビジネスとしては旨味が低い。
他誌がそう思ってくれると、価値が高まる。
儲かるビジネスの要諦は、価値においてシンプル、プロセスにおいて極めて複雑。
以前、一橋大学の楠木健教授から言われたことが、
「週刊BSには儲かるビジネスの要諦がある。要諦とは、価値においてシンプル。プロセスにおいて極めて複雑」
Vision=週刊BSをマネタイズ・ビジネス化する
紙のメディアだけでマネタイズするのは難しいと考えて、デジタル版を開始。
まず、プラットフォーマーと対等な関係を築けるだけのコンテンツの価値が必要。
ほかにも新しいマネタイズを実行している。
Mission=週刊BSのスクープをとってくる
現場にいる編集部員のミッションは、スクープ記事をとってくることであり、共有できているため、さまざまなスクープにつながっている。目の前の仕事にとらわれずに、ミッションを意識すると違ってくる。
しかし、なかには自分たちがスクープした意図と、拡散のされ方が違うこともある。例えば…。
というあたりで、講演を中座しました。
S谷さんの著書、読みたくなりました。