マクドナルドの創業を描いた「ファウンダー ハンバーガー王国のヒミツ」が働き方や生き方を問う
主人公のレイ・クロックに感情移入できるかどうかで、この映画の評価はわかれるでしょう。
あらすじ
マクドナルド兄弟が始めた、高速のハンバーガー製造システムに魅了された、冴えないセールスマンだった主人公レイ・クロック。
急速にマクドナルド帝国を築き上げていきます。勢いは次第に激しく、非情なほど強まっていき…。
試写会に参加してきました!
主人公の変わりように凍りつく
以下、ネタバレあり。
印象的だったのは、自己啓発の怖さ、成功のために犠牲にしたもの、仕事や人生への問いかけ、の3点です。
自己啓発の怖さ
最初は厳しい場面で目を泳がせていた主人公が、息を吸うように躊躇なく卑劣な手段を打つようになります。
キーワードとして「American New Church」「Family」「Opportunity」を使っていながら、やることはえぐいです。
トランプ大統領も信奉する自己啓発(毎朝、レコードを聴くのです)の恐ろしさを感じます。
成功のために犠牲にしたもの
レイ・クロック氏の事業家としての成功が、実は他者の痛みや苦しみのうえに築かれていたという事実。なにが彼をそこまでさせたのでしょうか?
52才という年齢による焦りなのか、セールスマンとしての失敗の屈辱なのか。
終盤はひたすらに重苦しいものになります。
仕事や人生への問いかけ
全編を通して流れるピアノの不協和音が、
- 仕事とは何なのか?
- 仕事を通して何をしたいのか?
- 成功のためなら何をしてもいいのか?
さまざまな問いを投げかけてきます。
どんな働き方、生き方をするか、自分に問うきっかけになりました。
起業家、椎木里佳さんから見たレイ・クロック
試写会のあと、映画評論家の町山智浩さんと女性起業家の椎木里佳さんによるトークショーがありました。
町山さん自らはマクドナルドで食べないのに、マクドナルドに詳しく何時間でも語れそうな勢いでした。
例えば、ビッグマックは従業員が勝手にカスタマイズしたものが商品化されたという話は初めて聞きました。しかも、従業員には何の見返りもなく、貧しいまま最近亡くなったそうです。
一方、椎木さんは野望に満ちたレイ・クロック的な起業家と思っていたら、トーク上はかなりイメージを守ってました。自分を大切にしてくれた人を捨てたりしません、と。会場の反応は冷ややかでしたが…。
(追加)
このトークショーの内容が記事になってます。
「『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』トークイベント!!」
https://amp.amebaownd.com/posts/2612070
時間を置いて振り返ると、何かや誰かを守るために、知らず知らずのうちに誰かを傷つけているかもしれない、とも思います。
本作は、どう働くか、どう生きるか、問いかけてくる一作でした。
次号予告
前回予告した、もう一人の「笑い」の源泉、大宮エリーさんのエッセイをご紹介します。
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