パーソナル・コーチングを受けてルーティンを始めてみた(2017年10月)
コーチングを学んでる知人に、パーソナル・コーチングを体験させてもらいました。
実は、ぼくの勝手なイメージでは、コーチングは上司が部下を指導する際のテクニック集でした。
しかし、パーソナル・コーチングを受けたあとでは、対話を通してゴールを考え、ゴールまでサポートする取り組みと理解しています。テクニックの要素もありますが、あくまで円滑にサポートする手段でした。
今回はパーソナル・コーチングの体験をレポートします。
パーソナルコーチングで考えたルーティンをアプリ「リズムケア」で管理中。
- コーチングをお願いしたOさん
- パーソナル・コーチング前に考えた3つの質問
- テーマは時間配分にして構成要素を洗い出す
- 3つの構成要素に重要な要素・良い状態に必要な要素を足していく
- 将来に向けて加えたいことを足していく
- 「10年後どうなっていますか?」
- 新しいものを得るために何を捨てるか諦めるか
- ルーティンを決める
- コーチング料金
コーチングをお願いしたOさん
きっかけは、知人のOさんが、Facebookでパーソナル・コーチングを希望するひとを募集していたのを見かけたからです。
それまでOさんに持っていた印象は、
- 読書家(ブログで書評を公開)
- MBAホルダー(グロービス経営大学院)
- 釣り好き
でした。
特に、ビジネス書などを中心とした書評から、組織人としてバランスのとれたビジネスパーソンであり、勉強家&実践家という印象がありました。
そんなかたからコーチングを受けられるチャンスは滅多にない!と思い、「コーチングをお願いします!」と速攻でコメント。
後日、日程を調整して、通常セッション(単発・90分程度)をお願いしました。(ほかに数ヶ月みっちりコーチングしてもらうプランがあるものの、人気ですぐに埋まってました!)
パーソナル・コーチング前に考えた3つの質問
セッションの前には、3つの質問をもらいました。
- 話ししてみたいテーマは何ですか?
- 上記に関して気になっていることや課題・悩みは何ですか?
- コーチングセッションを受けることで得たい結果・得たい状態(気持ち)は何ですか?
最近のぼくの悩みは、今後のキャリアと時間配分の2つです。
どっちを話すかな、と思いつつ、待ち合わせ場所の某喫茶室へ。
テーマは時間配分にして構成要素を洗い出す
Oさんに質問への答えを話すと、限られた時間なのでテーマは1つにしましょう!と提案されました。
目の前の課題で、自分でどうにかできそうな後者、時間配分の話を相談することにしました。
まず、現状把握からです。
というわけで、ぼくの生活の大きな構成要素をあげました。
思いついたのは、この3つです。
- 仕事
- 家族
- 自分
Oさんの「どれくらいの時間配分ですか?」という問いに「6:2:2」ぐらいと答えました。
平日は仕事中心で、土日は家族中心、そして夜は(割りと)自分の時間という時間配分です。
さらにもう一歩踏み込んで、情熱やエネルギー量の比率を問われました。
現状はそのときどきの優先順位に応じて、柔軟にシフトさせていると答えました。例えば、いまは家族の優先順位を上げつつあります。
3つの構成要素に重要な要素・良い状態に必要な要素を足していく
ここに重要な要素を出してください、ということで足していきます。
(自己開示しすぎるのも恥ずかしいので、半分くらいにしています。)
仕事では
家族では
- 妻
- 息子
それぞれがやりたいことをできていることが重要です。
自分自身は、自分の好きなマーケティングや読書を通して、情報発信することなどを挙げました。
将来に向けて加えたいことを足していく
そして、今後足していきたいものを書きます。
仕事ではファシリテーションとITスキル(プログラミングなど)、家族には面白い勉強というスキルとキーワードが思い浮かびました。
それぞれのイメージを話しあとの質問が、ぼくには難しいものでした。
「10年後どうなっていますか?」
10年後、新しいことすべてを身に着けたあとの自分はどんなやっているのでしょうか?
キャリアの話と交錯するからか、なかなか思い浮かびません。
ここでイメージが浮かばないのが、ぼくの真の課題かもしれません。
新しいものを得るために何を捨てるか諦めるか
そのあと、この新しいものを得るために、捨てられるもの、辞められるものを探します。
ぼくが思いついたのは、通勤中のSNS閲覧の時間と、帰宅してからダラダラとスポーツニュースを観る時間です。
前者は60分、後者は30分以上あるでしょう。
両方を辞めてインプット(読書)やアウトプット(ブログなど)の時間にあてる!と意気込むわたしに、Oさんは冷静かつ笑顔で止めてくれました。一度に大きく変えるのは負担が大きいと言います。
そして、Oさん自身が日々の習慣を管理するために使っている「ルーティン」を教えてくれました。
ルーティンを決める
ルーティンと聞いて、ラグビーの五郎丸さんを連想しました。
QREATORS | 五郎丸ポーズから見えてくる「ルーティン」を見直す技術
Oさんは日々の行動をルーティン化して、Excelのシートで実行状況を管理しているのです。朝、何時に起きるか、何時に出社するか、日記を書くなどなど10数項目。
特に驚いたのが、朝4時に起きて、早朝に出勤し、出社前にかなりのインプット&アウトプットをこなしていることです。
ぼくもそのルーティンを参考に、自分のルーティンを考えました。
- 朝5時に起きる
- 夜24時までに寝る
- 通勤中、SNSは見ない
- 通勤中、読書する
などなど。
しかし問題は日々できているか、どう記録するかです。
ちょうど、夜の筋トレを記録するために、Androidアプリ「リズムケア」に登録できそうなので、設定してみました。
日々、できたかどうか、記録して振返れるようになりました!
コーチング料金
ほかにも3×3のマンダラ型のシートを使って、目標を設定する方法なども教えてもらいました。まずは、ルーティンから始めてみます。
なお、Oさんは職場がコーチングを実践中&兼業禁止なことから、コーチングの料金は無料とのことでした。
Oさん、ありがとうございました。
講演『「週刊BS」編集長の仕事術』から仕事術だけ紹介する
週刊BSの編集長の話を聞けたので紹介します。
ちょうど衆院選直後。編集長ご本人も苦笑しつつ、講演は政治ネタ9割、仕事ネタ1割ぐらいでした。仕事ネタのみ慎重に切りとってレポートします。
※これはたまたま手にした週刊誌です。
※講演をうまくまとめる技量がないため、基本箇条書きにしています。終始、笑いの絶えない講演でした。
※特定の個人や組織につながらないよう、イニシャルトークならぬ、イニシャルライティングさせていただきます。また、エピソードから人物を特定できないよう、主旨が変わらない範囲で改変しています。
- 「週刊BS」編集長、S谷氏とは
- 「親しき仲にもスキャンダル」がモットー
- A氏の「指示にはゴールがある」
- B氏と諸氏との違い
- 義理人情に厚いC氏
- 自分とは違うタイプを周りに置くD氏
- 現場の異論・反論を大事にする
- 客観的に自分を見るしかけを作るG氏
- 「リーダーは言葉が命」
- 週刊BSのValueとVisionとMission
「週刊BS」編集長、S谷氏とは
1964年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。2012年から週刊BSの編集長。
講師の紹介文に「日々高速にPDCAを回し」と書いてあるので、編集部員に「俺は何を回してるんだ?」と聞いた(笑)。
2016年は4回の完売を出すほど、スクープを連発。
最近、仕事術に関する著書を執筆。
複数の出版から執筆の依頼が来た。
唯一、D社だけが仕事術という切り口での提案で、他社は誌面に書けなかった暴露ネタという切り口。
著書には、日々気をつけていること、今まで無意識でしていることを書いた。
「親しき仲にもスキャンダル」がモットー
書くべき時は(週刊誌に)書く、話すべき時は話すというスタンス。
敵味方では考えず、いろいろなひとと一定のパイプをも持つよう心がけている。
記事をめぐって、関係が悪化することもあるが、続くひととは続いている。
なかには、自分に都合のいいときだけ、つながろうとするひともいる。GIVE & TAKEの関係が築けるかどうか。
A氏の「指示にはゴールがある」
著書には、実名で紹介している方が数名いる。
出版後に書籍を贈ったところ、その一人、A氏から連絡があり、仕事を進める上で考えていることがよく書いてある、と感謝された。
現在、A氏がトップに立つ組織はよく機能している。
A氏の部下にヒアリングしたところ、「 A氏の指示にはゴールがある」という声があった。指示の結果、どうなるかを共有されるので、モチベーションも高くなり、仕事がやりやすい。
一方、A氏以前のトップのなかには、場当たり的で対処療法的な指示ばかりの人もいた。
B氏と諸氏との違い
もうひとり、よく話が出たのがB氏。若い頃から、将来、トップになると思ってきた点が、競争相手とは違う。高い目標を持つと、自ずと行動が変わる。
大きな決断が必要なとき、高い目標があれば方向性は変わらず決断できる。
決断は結果論になるが、タイミングを活かせない人はたくさんいた。
アクセルとブレーキのタイミングを真逆にする、いわゆる勘の悪いタイプがいる。
義理人情に厚いC氏
ある記事をきっかけに、義理人情に厚いと言われるC氏と食事をする間柄になった。
C氏はいろいろな出来事や思ったことをノートに書いている。
最も重要な言葉は、
「人事において情に流されないこと」。
義理人情は表裏一帯。周囲のひとがそのひとの力になるうとする一方、身内に甘くなるリスクもある。
自分とは違うタイプを周りに置くD氏
ワンマンで知られるD氏。
しかし、外様と思われていたE氏を幹部として重用。
なぜなのかD氏に尋ねると、「自分はたくさんの球を投げる。なかにはピンボールもある。E氏は辞めたほうがいいと直言してくる。」
そして、E氏もその自覚がある。
一方、D氏はNo.2としてF氏を指名。D氏は大きなビジョンを描くタイプ、F氏は緻密で実行に長けたタイプ。自分にはないものを持っているから、と。
組織には、構想(ビジョン)と同時に実務も必要。
週刊紙でも情報をどう扱うか、切り口を考えるセンスがいる。同時に、実際に記事にする実務力も必要。
現場の異論・反論を大事にする
自分が編集長になったとき、No.2となるデスクに
「自分はイケイケドンドンで攻めるタイプ。ヤバイと思ったときはブレーキを踏んでくれ!」と頼んだ。
これまで数回ブレーキを踏まれた。
自分にとってリトマス試験紙的な存在で、重要な役割。
客観的に自分を見るしかけを作るG氏
リーダーは自分を客観的に見れるかどうか?が大事。
G氏がある組織のトップになったとき、連絡があり、「外から見ていておかしいと感じたら、教えてほしい」と頼まれた。
トップは耳ざわりのいい言葉を言うひとを周囲に置きがちになる。
「リーダーは言葉が命」
自分の言葉が軽くなるような行動はしてはならない。
「あなたにそう言われたらやるしかない」と部下に言われるようなリーダーであれと。
「あんたにだけは言われたくない」となってはならない。
週刊BSのValueとVisionとMission
著書を読んでくれたひとから
「ジム・コリンズの『ビジョナリー・カンパニー』を読んでますね」と言われたが、読んだことはない(笑)。
組織はValueとVisionとMissionが大切。
どうすれば週刊BSのビジネスモデルを維持できるか考える
編集長になったとき、編集部員60名に伝えたのは
「武器はスクープ力だ。週刊BSの将来がかかっている。」
Value=スクープ記事のインパクト
他誌には真似できないようなスクープを狙う。
そもそもスクープとは、コストもリスクもかかる。ビジネスとしては旨味が低い。
他誌がそう思ってくれると、価値が高まる。
儲かるビジネスの要諦は、価値においてシンプル、プロセスにおいて極めて複雑。
以前、一橋大学の楠木健教授から言われたことが、
「週刊BSには儲かるビジネスの要諦がある。要諦とは、価値においてシンプル。プロセスにおいて極めて複雑」
Vision=週刊BSをマネタイズ・ビジネス化する
紙のメディアだけでマネタイズするのは難しいと考えて、デジタル版を開始。
まず、プラットフォーマーと対等な関係を築けるだけのコンテンツの価値が必要。
ほかにも新しいマネタイズを実行している。
Mission=週刊BSのスクープをとってくる
現場にいる編集部員のミッションは、スクープ記事をとってくることであり、共有できているため、さまざまなスクープにつながっている。目の前の仕事にとらわれずに、ミッションを意識すると違ってくる。
しかし、なかには自分たちがスクープした意図と、拡散のされ方が違うこともある。例えば…。
というあたりで、講演を中座しました。
S谷さんの著書、読みたくなりました。
【緊急レポート・動画あり】ブランドを守るために広告主が知らなければならないことをスマートニュースで聞いた@AdTech2017
「今は広告主が意志を持って管理しないと危険。」
危険というキーワードが飛び出したのが、デジタル広告におけるブランドセーフティーに関するセッションです。
広告主およびパートナー企業にとって重要なテーマかつ、ある調査が発表されたタイミング(「日本のマーケター、8割が「アドフラウド」を知らない?:Supership ✕ Momentum による調査結果 | DIGIDAY[日本版]」)ということもあり、現在まとめられる範囲で情報をまとめて公開します。
もしかして「自分も8割だ!」というかたは、大至急読んでおきましょう!
- AdTechとは
- ダイアモンドスポンサー、スマートニュースの挑戦
- セッション「いまさら聞けないブランドセーフティーの重要性とは」に、大和ハウス工業の大島茂氏が登壇
- スマニュー菅原健一氏「(広告の出稿先として)なぜスマートニュースを選ばれたのでしょうか?」
- スマートニュースと他アプリとの広告表示を比較
- スマートニュースの3つのブランドセーフティ
- 大島氏「今は広告主が意識を持って管理しないと危険」
- 参考記事(大島氏と菅原氏がウェブメディア等で発信したもの)
AdTechとは
このセッションが行われたのは、AdTech(アドテック)というイベントです。
近年、広告に関するデジタルソリューションを「アドテク」と呼び、その名前を冠しています。
今年(2017年)は10月17日(火)と18日(水)の2日間にわたって東京国際フォーラムで開催されました。
広告業界のテーマについてさまざまなスピーカーによるセッションが行われるほか、出展エリアは、広告ソリューションがずらりと並ぶ、いわば「広告の見本市」状態です。
ダイアモンドスポンサー、スマートニュースの挑戦
スポンサー&出典企業の一覧はこちら。
唯一、ダイアモンドスポンサー(Diamond Sponsers)となったのが、ニュースアプリの雄、スマートニュース社(SmartNews)。
同社の紹介ページには、
「ブランドセーフティ」「ビューアブルインプレッション」「アドフラウド」など広告業界の課題に対して対応をしています。
の記載もあります。
同社の展示ブースでは、2日間にわたってさまざまなセッションが行われました。
セッション「いまさら聞けないブランドセーフティーの重要性とは」に、大和ハウス工業の大島茂氏が登壇
大和ハウス工業の大島茂氏(総合宣伝部 事業販促企画室長)は、以前からブランドを守る広告主の立場からデジタル広告に対して警鐘を鳴らしていたと言います。
聞き手は、スマートニュース社の菅原健一氏。
まず、菅原氏から大島氏に登壇を依頼した経緯が話されました。
菅原氏「5年前ぐらいから、大島さんがビューアビリティ(後述するブランドセーフティーの課題のひとつ)について指摘していたのを記憶している。」
大島氏「2007年に総合宣伝部に赴任してからWeb広告を統括するようになったが、その当時(10年前)から、広告の掲載面がどう言うところかについて確認をするようにしていた。具体的には、掲載面をきちんと細かく説明できないネットワークは扱わない。広告の掲載箇所によっては、反社会勢力やテロリストへの資金供与になりかねないからだ。テレビCMや新聞広告では当たり前のこと。しかし、昨年の時点でも、ウェブメディアに対してブランドセーフティーのソリューションの導入を依頼しても嫌がれるのが現状。」
スマニュー菅原健一氏「(広告の出稿先として)なぜスマートニュースを選ばれたのでしょうか?」
大島氏は前提として
「PC時代はYahoo! JAPANなどのポータルサイトがあったが、スマートフォン時代になってウェブブラウザの利用が減り、アプリが中心になった。」
と指摘しました。
その上でかなり前からスマートニュースへの出稿を行った理由を3つ挙げました。
- (情報をニュースしようとしてアクセスしている)ニュースアプリと広告は相性がいい
- 他のニュースアプリに比べてデザインがいい。
- 広告のバリエーションが豊富。(あまり知られてないが)市町村単位でターゲティングできる。
スマートニュースと他アプリとの広告表示を比較
広告の表示については、スマートニュースと交通検索のアプリ例を比較しました。
他のニュースのフォーマットと統一感がありながら、 [広告]の表示が明確です。
[PR]でもなければ、[AD]でもない点を、ユーザーに伝えています。
菅原氏「大島さんは、怖いぐらい、本当によくスマートニュースをよく見ている。他社の広告への関心も高い。」
大島氏「広告の営業をする側が知らなすぎる。もっと勉強してから提案に来てほしい。売る側が詳しくなくてどうするんだと言いたい。」
スマートニュースの3つのブランドセーフティ
スマートニュースが行っている対策は、ビューアビリティ、アドフロード、ブランドセーフティの3つ。
- ビューアビリティ(広告が実際閲覧可能な状態で表示されているか)
- アドフロード(広告が機械ではなく人に表示/クリックされているか)
- ブランドセーフティ(広告が適切なコンテンツに掲載されているか)
(資料上はアドフラウドと表記されていますが、Fraudの発音と異なっているためフロードと記載しています。参考「fraudの意味・用例|英辞郎 on the WEB:アルク」)
大島氏「今は広告主が意識を持って管理しないと危険」
大島氏「 今は広告主が意識を持って管理しないと危険。(ほとんどの)代理店に意識がない。現在、ホワイトリストで広告配信をしている。手間はかかるが、ハウスエージェンシーの協力により実現している。」
(ホワイトリスト方式による広告配信とは、広告を掲載するサイトを、予めリストとして登録したものだけにする方式です。一方、ブラックリスト方式は、広告を掲載しないサイトを決めるものです。前者のほうがより厳格な方法ですが、定期的にウェブサイトを精査するなど、運用の負荷は高いと言われています、 )
菅原氏「今後どうしていけばいいか、アドバイスをお願いします。」
大島氏「(ブランドセーフティを理解する)ネットワークやメディアが作られること。そして、広告審査をしっかりして行うこと。
ただ、現状はスマートフォン向けの広告をどうするか悩ましい。」
実際の動画も配信されています。ぜひご覧ください。
参考記事(大島氏と菅原氏がウェブメディア等で発信したもの)
また3年前の記事です。大島氏はこのころからブランドセーフティについて発信されていました。
菅原氏は『宣伝会議』(2017年10月号)への寄稿でブランドセーフティ含む、広告主の課題について言及しています(有料)
同様に、菅原氏は2017年初の時点で、ウェブメディアの質の低下を指摘し、ホワイトリストの利用を提言しています。
広告出稿企業にとっては、ブラックリスト(悪いメディアへ出さない)からホワイトリスト(良いメディアにだけ出す)へ転換が必要である。
なお、アドテックでもより包括的なテーマのセッションが行われていました。
このセッションについては、アドテックの参加者も感想で触れていました。
このセッションも、オープンな場、ビジターパスでも聴講可にしていただくくらい、オープンなものでも、いいかと思った。
特に、最後のセッションで業界の重鎮が。、あのような思考回路でいることに対して、(広告主側や代理店の)若手や現場がどう思っているか、まで可視化したほうが、業界の健全性は、より進行&深耕すると思うんですけどね。
simako.hatenablog.com
関連ニュースをまとめているのでご覧ください。
【まとめ】アドフロード(広告詐欺)ほかブランドセーフティ関連のニュース
AdTechのスマートニュースブースでのセッションをもとに、ブランドセーフティのニュースをまとめてみました。
海外のマーケティング事情がまとまっているのが「DIGIDAY」。
海外の動向
2017年10月17日:P&Gがホワイトリストで配信(の可能性)
P&Gがホワイトリストで配信をしている可能性が言及されています。
ホワイトリストはより限定的であるため、キャンペーンでこれを利用するマーケターは全体のわずか14%に過ぎないという。
2017年4月17日:ホワイトリスト作成の実務について
ホワイトリストの作成の現状に関して紹介されています。しかし、マーケターのホワイトリストへの関心は低いという指摘も。
「クライアントはいつも、キャンペーンが目標を達成しているかどうかしか気にしない。ホワイトリストについて我々に問い合わせてくることなど、めったにないのだ」と、ジアン氏は語った。
日本国内の動き
2017年10月11日:日本のインプレッションの81%は広告詐欺?
アドフロード(広告詐欺)の状況についての発表もありました。
アドフラウドがもっとも頻発しているのは、日本だ。詐欺防止アドテク企業のピクサレート(Pixalate)は5月に発表したレポートのなかで、2017年第1四半期、日本で取引されたデスクトップのプログラマティック広告の全インプレッションのうち81%が、アドフラウドだったとした。
2017年10月13日:81%についての追加取材
81%という衝撃的な数字のため、追加取材が行われたほどです。
2017年10月18日:大和ハウス工業の大島氏、ブランドセーフティを語る
アドテック2017のスマートニュース社の展示ブースでミニセッションがあり、同社の取り組みを聞きました。
2017年10月17日:日本のマーケターは「アドフロード」や「ブランドセーフティ」に関心なし?
そして、日本国内のマーケター向けの調査によると…。
日本国内上場企業のマーケターの7~8割は、「アドフラウド」や「ブランドセーティ」といったキーワードについて、用語も意味も知らないという。
2017年9月26日:ブランドセーフティの影響調査
ウェブメディア「Web担当者Forum」では、ブランドセーフティに関する調査をもとにわかりやすく解説しています。
ブランドセーフティに向けたパートナー企業の動き
2017年4月12日:サイバーエージェントが「アドフラウド対策委員会」を立ち上げ
2017年4月に、最大手のサイバーエージェントが「アドフラウド対策委員会」を立ち上げています。半年間でどういった成果が出たのでしょうか。
2017年10月18日:Supershipがアドベリフィケーションソリューションを標準搭載へ
Supership社が、アドベリフィケーションソリューションを採用へ。
DIGIDAYで紹介された調査の自社サイトで詳しく紹介しています。
今後も新しいニュースを発見次第、追加していきます。
上場直後のマネーフォワード辻庸介社長と日経FinTech原隆編集長の対談を聞いてきた@FinTech2017(ITproEXPO2017)
先日上場したばかりのFintechの雄、マネーフォワードの辻庸介社長(代表取締役社長CEO)に、日経Fintechの原隆編集長がインタビューする形式の特別講演「上場マネーフォワード、FinTechの未来をどう描く?」を聞いてきました。
(FIntech2017を含む、ITproEXPO2017は2017年10月11日から13日まで、東京ビッグサイトで開催されました。)
講演中の撮影禁止とのことで、講演前に撮影。
- マネーフォワードとは
- 海外進出には覚悟がいる。勝ち筋を探している。
- 「Fintech企業としてどこに注目して進出する国を選ぶか?」
- インドネシアは調査している。
- Fintechに必要な2つのポイントを提供できるか
- 「アジア。上海(深圳?)に行ったあと、ニューヨークに行ったら古臭く感じるほど、アジアはすごい。」
- 当時はほかのメンバーに「選択と集中」って知ってますか?と言われた(笑)
- マネーフォワードの一番の強さはユーザーの使いやすさ
- 気になる金融機関によるAPI公開の影響
マネーフォワードとは
マネーフォワードの社長、辻庸介氏は、ソニー、マネックス証券を経て、2012年にマネーフォワード(当初、マネーブック)を起業。
サービスは、個人向けと法人向け。
個人向けは「自動家計簿サービス Moneyfoward」(利用者 550万人)とリリースしたばかりの「自動貯金サービス しらたま」。
sirata.ma法人向けはクラウド会計を中心とした「MFクラウド」シリーズ。
サービス紹介のあと、企業としての活動をいくつか紹介。
- 金融機関とのパートナーシップ
- 社外取締役に元LINEの森川亮氏、BCGの御立尚資氏らの協力を得ていること
- 元日本銀行(金融庁でFintech領域を担当)した神田潤一氏が入社
- CAMPFIRE、LIFULL Social Fundingと資本業務提携(クラウドファンディング)
- 千葉銀行・北洋銀行ほかと参照系API提携
現在社員は200名程度。うち、4割がエンジニアとのこと。
海外進出には覚悟がいる。勝ち筋を探している。
(お二人のやりとりは物腰やわらかでしたが、記事をまとめる都合上、編集させていたただきました。また、メモをもとにしているので間違っている箇所があるかもしれません。あらかじめご了承ください)
まず原編集長は上場による時価総額550億円をどこへ投資していくのか?という点から、海外展開の可能性を聞きました。
辻社長
「ソニーのファンダーの著書『盛田昭夫』に海外進出の話が出てくる。海外進出の際、家族ごと海外に住んでいる。
海外進出には覚悟がいる。(マネーフォワード)創業時のように腹をくくらなかればならない。
もちろん中長期の成長には海外進出が必要。」
原編集長
「Fintech企業としてどこに注目して進出する国を選ぶか?」
辻社長
「マクロ的には人口やGDP、金融面では規制。ベンチャーとしては「カスタマーペイン」に注目。
国によって(求められる)Fintechは異なる。アメリカは銀行が嫌われていて、利用者に不信感を持たれている。
一方、日本の金融サービスはよくできているし、信頼されている。また新興国は銀行口座自体が普及していない国もあり、各国の事情は異なる。」
原編集長
「具体的に注目している国はあるか?」
辻社長
インドネシアは調査している。
「(実際、行ってみたが)無茶苦茶面白い。例えば、緑色のバイクを使ったUberのバイク版のようなサービスがある。お金を借りてバイクを買う。お金を返さないと、バイクが動かなくなる。IoTの活かし方が面白い。
いまのプロダクトを海外に持っていくのではなく、持っていく先にあったプロダクトが必要。
Fintechに必要な2つのポイントを提供できるか
-
コストが圧倒的に安くなるか(既存のサービスの10分の1)
- 圧倒的な価値を提供できるか
勝ち筋がどこにあるか、社内ではよく話している。」
原編集長
「アメリカ、ヨーロッパ、アジアから選ぶとしたらどこへ?」
辻社長
「アジア。上海(深圳?)に行ったあと、ニューヨークに行ったら古臭く感じるほど、アジアはすごい。」
原編集長
「上場によるマーケットからの期待に対してどう答えていくか。儲かる法人向けだけにしろ、という圧力はないか?個人向け、法人向けの両方をやる意味は?」
辻社長
「当社のサービスは個人向けから始めた。法人向けはユーザーへのヒアリングから得た「確定申告を楽にしたい」という要望から生まれた。
当時はほかのメンバーに「選択と集中」って知ってますか?と言われた(笑)
「人と金は連れてくるからやらせてくれ」と言って始めた。
また、サービスの中心になるアカウントアグリゲーションは、個人・法人に共通して利用できる。」
原編集長
「明日、最初の決算。Saas型の先行投資で赤字での上場。いつ黒字化するか?」
辻社長
「当社はFintech企業として初の上場であり、Saasモデルとしても珍しい。
Saasモデルは利用者の増加によって(売り上げが積み上がっていく)右肩上り。自分たちが想定した右肩あがりで快適な投資になっている。
当社のような銘柄が出てくることで、新しいベンチャーが出てくるといい。
また、上場によってVCに恩を返せてほっとした。」
※在シリコンバレーの起業家による、SaaSのIPOに関するレポートです。有料(500円)。
原編集長
「クラウド会計の分野は、もともとパッケージの会計プレイヤーがいた業界。彼らのクラウド化の動きもある。マネーフォーワードの強みはどこにある?」
辻社長
マネーフォワードの一番の強さはユーザーの使いやすさ
「会計サービスをやっているつもりはない。
クラウドで設計することで、経営のPDCAサイクルができること。
またMFクラウドは連携先も多い。
開発陣の持つ開発力とUXを活かして、使いやすいプロダクトにこだわる。」
原編集長
「サービスのラインアップは?どう拡大していくのか?」
辻社長
「当社だけでやる必要はない。さまざまなサービスと連携すればいい。例えば、勤怠のニーズが強い。
サービスが拡大すればデータが増える。人工知能を使って、顧客が気づかないことを見いだせればさらに価値が上がる。」
原編集長
「エンジニアたちはどういった領域に関心があるか?」
辻社長
「ブロックチェーン、ビットコイン、ICOも社内では盛り上がっている。
ただし、ブロックチェーンは、コストが安くなる分散型の仕組みであり、(自社がプラットフォームを提供する側になるのではなく)使う側と思っている。
最近、エンジニア合宿を行った。2日間それぞれが好きなもの、プロトタイプを作る。大変盛り上がった。」
原編集長
「UXやUIがますます注目されている。AmazonのEchoなど、音声入力は?」
辻社長
「もちろん興味はある。顔で送金できても面白い。
アメリカのような無粋なスピーカーではなく、日本のデザインにチャンスがあるのでは。」
以上で対談は終了しました。
なお、イベント公式の記事がありました。
また、10月13日に行われた決算説明会の書き起こしもありました。
気になる金融機関によるAPI公開の影響
銀行口座などの情報を集約するアカウントアグリゲーションサービスは、これまで参入障壁が高いものでした。スクレイピングという技術を用いて、各社の口座情報の画面を分析して集約しなければならず、各社のサイトの変更に合わせる必要がありました。
しかし金融機関がAPIによって口座情報を公開すれば、スクレイピングは不要になります。
アカウントアグリゲーション事業への参入企業が増える可能性があるわけです。
もちろん、金融機関がどういったルールでAPI連携を認めるかにもよりますが。
そのあたりを聞いて欲しかったです。
その点を指摘している開発者のかたもいます。
さて、次のFintech企業の上場はどこの会社になるでしょうか。
なお、このイベントは撮影禁止とのことで、文字ばかりになってすみません。
撮影可能ならSNSで拡散されてイベントの集客にもなると思うのですが。
日経BPさん、どうでしょう?
イベントレポートを邪魔する自分のなかの「Mr.ビーン」(2017年10月度ブログ運営レポート)
おかげさまでひとつ前の記事が、50本目になりました。
当ブログへのアクセス、「読者」のみなさん、SNSでのシェア、はてブやPocketへの登録、いずれも更新の励みになります。ご覧いただきありがとうございます。
いい区切りなので、今後このブログをどういう方向に持っていくのか、確認してみます。
※要は運用および改善レポートです
- 記事50本といいつつ「よく更新してるのは最近」
- 記事のカテゴリー別本数No.1は「イベントレポート」シェア26%
- 記事に対する反応(定量)=DMPレポは1万PV超えでスマニューに掲載
- 記事に対する反応(定性)=各種問合せあり
- イベントレポートを書くのは自らを含むマーケターの成長のため
- 今後もイベントレポートを続けます
- 自分のなかの「Mr.ビーン」
記事50本といいつつ「よく更新してるのは最近」
もともとは、かなり以前(なんと2011年。このとき、はてなダイアリーの後継サービスとして、はてなブログがスタート)に取得して放置していたアカウントを使い始めました。
記事を更新しているのは、ここ3ヶ月ほどです。
- 2017年 48本(7月から)
- 2016年 1本
- 2011年 1本
ぼくは、いままでさまざまなブログプラットフォームを放浪してきました。いわば、ブログジプシー…(笑)。
快適な執筆環境を提供してくれる、はてなブログに感謝です。特に、Android向けアプリをしっかりサポートしてくれるのがポイントです。
続いて、書いてる内容の傾向を調べます。
記事のカテゴリー別本数No.1は「イベントレポート」シェア26%
カテゴリーを設定したのは先月なので、まだ分類しきれてませんが。
- イベントレポート 13本
- ブログ試行錯誤 11本
- 私が出会ったマーケター 7本
- 息子と見聞録 4本
- 書評 1本
- 入魂のパッケージ 1本
本数としては比率26%の「イベントレポート」が圧倒的にPVを稼いでます。
なお、イベントレポートでは、可能な範囲、登壇者にも記事を確認していただいて、誤った箇所や掲載が好ましくないスライドは削除してます。
若干困るのは、記事をチェックしてもらうためにまず記事を公開します。内容をチェックしてもらい修正してから記事を拡散し始めますが、この間、誰にでも読めてしまうのです。なので、このブログの更新を通知してくれる、はてなの「読者」登録はおすすめです(笑)。
さて、記事には過剰な煽り文句を使ってアクセスを狙ったものもあります。ですが、それ以降は煽りは控えめにしています。
主な記事にどんな反応があったか、定量と定性から見てみます。
記事に対する反応(定量)=DMPレポは1万PV超えでスマニューに掲載
さきほどの煽った記事「そのDMP、成果出せていますか?」へのアクセスは、このブログとしては爆発的でした。
なんと!
ニュースアプリのSmartNewsに掲載されたほどです(もちろん「はてな」チャネルです)。
次にアクセスが多かったのが、マーケティングオートメーション(MA)ツールのMarketoの勉強会のレポートです。
レバレジーズとビズリーチの中の人にMA(マーケティングオートメーション)MarketoとKARTEについて教わった!【厳選スライド40枚】@BIZREACH - マーケター河原塚の放課後ノート
3番目はおすすめのTwitterアカウント一覧です。
マーケターTK的フォロー必須なTwitterアカウントたち81(少しの嫉妬と憧れを抱いてしまう、好奇心をかきたてられる話 2017年9月版) - マーケター河原塚の放課後ノート
続いて、データ化しづらい定性の反応です。
記事に対する反応(定性)=各種問合せあり
イベントレポートの公開後、知人からの問合せをよくいただきます。
- レポートのわかりづらい箇所について教えてほしい
- 掲載しなかったスライドに何があったか教えてほしい
また、イベントのレポートを書いてほしい、という依頼もありました(イベントが若い女性限定になり、実現せず。)。大変、ありがたいです。
また、ぼくのブログが影響したかわかりませんが、イベントの登壇者に、
- ウェブメディアでの執筆を依頼された
- 他のセミナーでの講演を依頼された
- マーケティングツールのベンダーから講演を依頼された
などの反応もあったようです。
そもそもなぜぼくはイベントレポートを書いているのでしょうか?
イベントレポートを書くのは自らを含むマーケターの成長のため
最近は、イベント開催企業がオウンドメディアでレポートすることがあります。またイベントレポートをログミーが請け負っていることもあります。
イベントレポートは、イベント参加者/不参加者双方に喜ばれるし、営業のきっかけにもなります。
でも、そこには、イベントの参加者がどう思ったか、がありません。
ぼくは一人のマーケターに過ぎませんが、その視点で感じたことの共有に価値がある、と思っています。
かといって、ぼくの知識が浅く、書けなさそうなときはレポートに徹します。いずれ、自分の理解が進んだときに読みなおすためです。
というわけで、自分自身のためにも、レポートらしいレポートを目指すつもりです。
今後もイベントレポートを続けます
イベントレポートは、今後も続けようと思います。残念ながら、参加したすべてのイベントについて書くには時間がありません。
より多くのマーケターに知ってほしい、という内容のイベントをより強めに伝えたいと思います。もちろん、参加者以外に公開禁止のイベントは残念ながら対象外です。
将来的には、マーケティング関連のイベントに招待されて、参加者兼レポーターになれたら面白いと思っています(お声がけお待ちしてます)。
ただし、ぼくは作家でも名文家でもありません。スライドと、スライドをつなぐ淡々としたコメントをできるだけシンプルに書いています。
気になるのは、自分の視点をどこまで加えるかのさじ加減です。
自分のなかの「Mr.ビーン」
話は変わりますが、ぼくは英テレビ番組の「Mr.ビーン」が大好きです。一般的には非常識/非道徳なことをやってのける姿に、思わず笑ってしまうのです。
そんな自分のなかにあるブラックユーモアな面がまじめなレポートを書いているときに、そっと出てきます。なので、ほんの少し、フレーバー程度、記事にMr.ビーン的な何かをふりかけるつもりです。もちろん事業会社のマーケターとしての見解も含めていきます(あくまで個人の見解です)。
というわけで、今後もお付き合いいただけるとうれしいです。では、ご縁があれば、どこかのイベントでお会いしましょう。
エンジニアドリブンとなったSixApartが生み出す「MovableType7」とデザイナー秘話を聞いてきた@MTDDC2017
MovableTypeといえば、言わずと知れたブログシステムの代名詞。ISPなどが提供するブログサービスの基盤となってきました。ぼくのイメージは、セキュリティを強みに法人向けでかっちりポジショニングしていると思っています。
そして、ついにVer7で、ブログシステムからCMS(コンテンツマネジメントシステム)へ進化するといいます。4年ぶりの開催となるMTDDCでの発表を聞いてきました。
- MTDDCのスライドはすべて公開されています
- モダンなデザインに進化するMovableType7
- CTOの平田さんから「生まれかわるMovavleType」
- MTのリードエンジニア高山さんから「詳説MovableType7」
- デザイン顧問の長谷川さんから「エンジニアと協働するためのデザイン的アプローチ」(一押し!)
- エンジニアの理想の職場から生まれるMovableType7
- 気になる2つの点(料金体系の変更と競合サービス)
- 個人的に期待したいMT7版のココログ
- メディア掲載記事
MTDDCのスライドはすべて公開されています
どう書こうかと思っているうちに、スライドはすべてSixApartの広報ブログで公開されました。
メディアで掲載された記事も網羅されています。
なので、少し違う角度からMTDDCの感想を書きます。
モダンなデザインに進化するMovableType7
公式テーマ名は「Jungfrau(ユングフラウ)」
MT7の公式テーマ、ユングフラウ。これまでの公式テーマ同様、山の名前から。
デザインは一気にモダンに進化しています。シンプルで洗練されていて、とてもMoableTypeらしいです。
MTDDCの登壇者はCTO、リードエンジニア、顧問デザイナー、製品担当の4名
MTDDCは「Movable Type Developers & Designers Conference」の略称です。
開発者(Developer)向けイベントなので、技術系メンバーから始まります。
CTOの平田さんから「生まれかわるMovavleType」
最前列のカメラマン勢に圧力を感じている模様です。
ブログを管理するのではなく、コンテンツを管理するために
Content Type(コンテンツタイプ)機能が搭載されます。
Ver7のキーワードは「コンテンツタイプ」
いままでの「記事(エントリー)」に相当する考え方です。
7のコンテンツの概念の説明が続きます。
具体的な画面を例として、コンテンツを分解すると。
個々の項目に分けることで、コンテンツの複製がしやすくなるそうです。
本日、10月6日は開発者向けのDeveloper Preview。
その後、Beta版の提供を経て、2018年4月にリリースが予定されています。
ブログ管理ツールからコンテンツ管理ツールへ進化すると、平田さんが宣言しました。
MTのリードエンジニア高山さんから「詳説MovableType7」
副題の「MovableType 7で始めるコンテンツとウェブの新しい関係」がいいです。
基本コンセプトもやはり「コンテンツ」がキーワードです。
Movable Type 7の基本コンセプト
- 効率的かつ効果的にコンテンツを利用できる
- 今するべきことを把握できる
- 様々な形式のコンテンツを管理できる
コンテンツの構成要素は、Entity、Content、Siteの3つ。
やはりコンテンツタイプ。
CTO、エンジニアと続き、デザインの話へ。
高山さんのパワフルさが印象的でした。
デザイン顧問の長谷川さんから「エンジニアと協働するためのデザイン的アプローチ」(一押し!)
個人的にはこのセッションが特に面白かったです。
MovableType7の開発秘話ならぬデザイン秘話として、デザイナーがエンジニアドリブンの組織でどう働くか、試行錯誤の経過が紹介されました。
タイトルの通り、MT7のデザインの話ではなく、Movable Type 7の開発におけるデザイン的アプローチの話です。
ユーザーとチームに理解してもらうために内と外のデザインを考える
そもそもデザインを内と外の両方があるところから。
- 外のデザイン:ユーザーが理解できるもの、必要だと思えるもの
- 内のデザイン:チームで理解できるもの、動き出せる関係性
特に、内のデザインで、チームを動かさなくてはいけないわけです。
SixApartの4つの特性
SixApartの特性は、
- 開発ドリブン
- スモールチーム
- ベテランのプロが多い
- 開発の進め方は成熟している
さて、デザイナーはどんなアプローチをするべきなのか?という話になります。
テーマというより
「開発ドリブンの組織でデザイナーはどうエンジニアドリブンな組織で働くか?」
と読み替えてもいいかもしれません。
- 視覚化は貪欲に、デザイン思考はほどほどに
- 思考のギャップを埋めていく
- プロセスをドキュメントしていく環境作り
デザイン思考的にカスタマージャーニーマップやペルソナを作ってみる
カスタマージャーニーマップやペルソナを作っても見たそうです。
こうしてグラフィックにしても
で、これが一体何なの?と反応されてしまう、と。
ここでのヒントは
正攻法が最適解ではない
ということです。
エンジニアを含む社内のメンバーと話をしていくなかで、相手によって様々なコミュニケーションをとる必要があるのだと思います。
例えば、部分的にプロトタイプ的なものを作るそうです。
作っては見てもらい、改善を加えていきます。
社内のメンバーも「ユーザー」と考えていくわけです。
デザイナーは俯瞰してエンジニアは細部から始める
このコミュニケーションの断絶の原因は、デザイナーとエンジニアの発想の違いだと言います。
図の通り、デザイナーは全体から詳細化していき、全体の整合性を崩さないようにします。一方で、エンジニアは具体的な細部を固め、そこから全体へ広げていきます。
個人的には、この違いの図と長谷川さんの一言が印象的でした。
「デザイナーがエンジニア寄りに動く」
このスライドにある通り、全体をデザインしきることはできません。
作りながら、実装しながら進めていく、という全体の整合性を大事にするデザイナーにとってはストレスがかかるかもしれません。
しかし、その先にMovableType7があるのでしょう。
エンジニアの理想の職場から生まれるMovableType7
昨年、SixApartは、従業員自らによる事業取得「EBO」によって会社のあり方を変えました。
そして、その結果として「SAWS(サウス)」(「Six Apart(SA)らしい、Working Style を実践する」)という働き方を採用しています。
シックス・アパートの全社員は、全ての勤務日において、それぞれのライフスタイルや住んでいる場所、その日の業務内容にあわせて自由な場所で働くことができます。たとえば、小さな子供がいる社員は、通勤の必要がない自宅勤務に切り替えることで、家族のための時間を増やせます。近所のコワーキングスペースに拠点を置きつつ、外出の多い日は最寄りのカフェで働くなど、それぞれが自分に合った働き方を選べるようになります。
これもまたエンジニアを含む社員の生産性を上げるために議論して選んだ選択と聞きます。
エンジニアドリブンな組織がMovableType7をどういうプロダクトに仕上げるか、とても楽しみです。
気になる2つの点(料金体系の変更と競合サービス)
今回、年間メンテナンスという費用が加わります(
Movable Type 6 のライセンス販売、ベータ提供を開始します | Movable Type ニュース
によれば、MT6にはなかったようです)。
Movable Type 7 以降のバージョンに適用される、Movable Type ソフトウェア版用のメンテナンスです。最新バージョンのダウンロードとメールによるテクニカルサポートが提供され、1年毎に更新することでメンテナンスが継続されます。
30,000円という金額ですが、継続的な費用の発生になります。マンスリーのレポートやユーザー事例の共有など、PUSH型のサポートやユーザー活性化もしてくれるとうれしいです。
そして、もう一つ聞いなるのは、競争サービスの存在です。
MovableTypeの企業シェアは十分に高いです。
企業においては、日経平均株価構成銘柄 225社の50%以上、東証一部上場1935社の30%以上に選ばれています。
また、国内の大学においては、国立大学86校の65%以上、私立も含む国内の全779大学では35%以上にご利用いただいています。
法人向けマーケットでもWordpressほかのCMSが増えているかもしれません。
あまり意識せず既存のMovableTypeユーザーをがっつり掴んでほしいです。
それぞれのマーケットで求められるプロダクトは異なります。
MovableTypeには、今後ますます重要になるセキュリティの強さを揺るがないものにして欲しいです。
個人的に期待したいMT7版のココログ
イベントレポーターでも、マーケターでもなく、一個人としての要望です。
@niftyのココログをMT7ベースにして、復活させてほしいです。
現状、ココログのシステム面がどうなってるか、まったく知らないのでトンチンカンかもしれません。
これまでのコンテンツを移管できなくても、有料でもいいので、ココログにいま一度活気を与えてほしいです。